PSO2 Ship9で活動するRPチーム「IF A.R.K.S」についてまとめたページです。人物紹介、チームの事や活動紹介を主にサイト内に掲載していく予定です。また、チームメンバーについてのお知らせや連絡等も兼ねようとも思っています。

第1話 少女の決心



少女、オリナは悩んでいた。

チームルームで独り。

夜景を遠くに見つめながら。



…兄を探すためにこの次元へ来た。
そして今、それは手の届く所まで来ていた。

でも、会えない。


兄は、成すべきことがあると。
それが終わるまでは、会えないと。
そう、伝えられたのはつい先日のこと。


「はぁ…」

ため息が夜風に紛れて消えた。

ここに来て、オリナの心は揺らいでいた。


まだ、良い子でいなければならないのか?
兄の、周りの言う通りにまた待たなければいけないのか?

「もう、待てないよ…お兄ちゃん…」


寂しげに、つぶやく。



「やっほ〜?オリナちゃん?」


不意に彼女の背後から声がかかる。
振り返るとそこには、もう一人の少女、サシャの姿があった。

「あ、サシャ…さん」

向き直り、敬礼するオリナ。
フフ、と微笑み返すサシャ。

「夜景見とったん?」

オリナの隣に立ち、夜景を眺めるサシャ。

「いつ見ても綺麗ですね」
「せやなぁ…ついつい船の中やって忘れてまうわ〜」

眼下に広がる夜景は、シップ市街地のものだ。
そこに輝く光は、そこで暮らす人々の営みの光。
それを考えると、オリナはまた心を揺らがせる。

「オリナちゃん! 見て!リリーパ花火や!」

サシャの指差した先に、リリーパの形をした花火が、その閃光を煌かせていた。

「綺麗やなぁ〜…」
「本当ですね…」

消え行く火花を見つめながら、オリナは思う。

(お兄ちゃんにも、見せたいな…)

そんなオリナの顔を覗き込み、サシャが呟く。

「お兄さんのこと、考えてはる?」

突然覗き込んでくる顔に、少し驚きながらも、オリナは

「…私、今少し悩んでるんです」
「ふぇ?」
「ナディアさんから、話を聞いて…兄がまだ会えないって言ってて…」
「いい子で待ってようと、思ってました。」

「うん」
「でも、心のどこかで、やっぱり会いたい、そんな気持ちが残っていて」
「うん」
「いっそ、私の方から、会いに行けばいいんじゃないかって…」


「…せやなぁ」

静かにうなづいていたサシャは、夜空を見上げながら言う。

「いっそ探しだしてシバキ倒して何してるのか吐いてもらうのもありだと思うんよ」
「…シバくかどうかは、わかりませんが…」

サシャの口から出た、意外な言葉に少し驚くも、言葉を続けるオリナ。

「…サシャさんの言うとおりかもしれないです。会えないなら、その理由を、兄から…」

「…結果はやってみなきゃわからないと思う、当たり前なんだけど」
「…ですね」
「やらずに後悔するよりずっといいよ」

「………」

少しの沈黙、花火の弾ける音が少し響いた後、オリナが沈黙を破った。
決意の篭った、小さいながらも力強い声で。

「…うん、決めた」

そしてサシャの顔を見つめる。
その表情に、優しく微笑み、返す。

「ふふっ私は、オリナちゃんの味方だよ」

その言葉に後押しされるように、言葉を、続ける。

「…サシャさん」
「ん〜?」
「私、自分に正直になります」
「ん!」
「やっぱり、私、兄に…いや、お兄ちゃんに会いたい!」

少女の決意に、サシャも応える。

「そっか、じゃあ、探しにいこ?」
「はい! …あ、あと」
「ん?まだ何かあるん?」
「堅苦しい喋り方も、やめる!」
「お姉ちゃんから、『周りから舐められないように』って大人びた喋り方にした方がいいって言われてたけど
 自分を偽ってるみたいだし、もう終わり!」

憑き物が落ちたかのようにまくし立てるオリナ。

「あははっ、そっちの方がええね!」

その様子に嬉しそうに笑顔を返すサシャ。

「…変、だったりするかな?」
「ん〜ん、素敵!」

「…ほっ、なら、良かった…」
「うん!ほな、早速行きましょか!」

「えと…改めてよろしく、サシャちゃん!」
「うん!よろしゅうに!」


2人は駆け出す。
チームルームはもぬけの空になった。
だが、オリナの心は決意で満たされていた。

足取りも軽い。

オリナ自身で決め、動き出した。

大切なものを探し出すための第一歩だった。





続く

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